「研削砥石」とは その1

砥石は包丁を研ぐもの

「私は研削といしを作っています」と自己紹介をすると、「包丁を研ぐやすりのようなもののことですか?」といわれることがよくある。
 ネットで「砥石」と検索すると包丁を研ぐ砥石の画像や解説がヒットする。Wikipediaには「金属、岩石などを切削、研磨するための道具」とある。若い男子たちの間で知らない人はいない「神ゲー」となっているモンスターハンター(モンハン)にも、モンスターを狩るための武器の性能を上げる道具として「砥石」が用意されているらしい。(砥石で武器を研いでおくと、モンスターのダメージが大きくなるのかな? )  「砥石とは刃物を研ぐ道具」、と思ってもらって良いだろう。

「砥」は常用漢字ではない

 話はちょっとそれるが、砥石の「砥」の字は常用漢字ではないらしく、法令では「といし」と書くことになっているらしい。しかし、われわれ古い業界はまだまだ「砥石」という文字が馴染んでいて、ひらがなの「といし」はなんだかひ弱そうで好きではない。各といしメーカーのサイトを見ても「砥石」の漢字を使っているところのほうが多いと思う。

「やすり」と「といし」

 もうちょっと逸れるが、「やすり」は研削する道具ではあるが、刃物を研磨するような細かい作業は出来ない(と思う)。 「削る」という視点でみると、まあ親戚のようなものであり、作業の目的は近い。昔、やすりを製造していたメーカーが砥石メーカーになっていたりする。「やすり」と「砥石、研削砥石」の関係について、いつかまた書くことにしよう。

砥石と研削砥石

 話を戻して。 「包丁を研ぐやすりのようなもののことですか?」と聞かれると、「親戚のようなものですが、私が作っているのは研削砥石といいまして、機械に取り付けてモーターでぐるぐる回して、火花を飛ばしながら、ギャーギャー音を立てながら金属なんかを削るものなんです」というと、「ふーん」とか言いながらなんとなく納得してくれる。いや面倒くさくなって納得したふりをしてくれる。 そう、私が作っているのは、包丁研ぎ用の「砥石」ではなく、だいたい丸い形をしており、機械で高速回転させて、金属などを研削、研磨する「研削砥石」なのである。で、その研削砥石の定義とは?  それはまた次回に。
2016/03/22 tue