砥石の作り方
砥石の作り方に何通りかあるが、使う研磨材はどれも同じである。違うのは、結合剤なのだ。
使う結合剤によって作る方法が違うので、それぞれ名称があり、以下のとおりである。
ビトリファイド法
辞書を引くと、Vitrified (ガラス状の、ガラス化した)とある。ガラス化というよりは「やきもの」化
というほうが感覚的にも、材料的にも正しいだろう。 長石や陶土、磁器土などの材料は大体1,200度くらいでトロッと融けてガラスのようになり、これが結合材になるのである。研磨材である酸化アルミニウムの融点は2,072℃、 炭化珪素の融点は2,730℃なので、 1,200℃程度では変化はしない。乱暴な言い方をすれば、有田焼、九谷焼、砥部焼など瀬戸物の中に研磨材をいれて焼けばビトリファイド砥石になるのである。 じっさい、陶磁器のトップメーカーは、ビトリファイド砥石のトップメーカーと同じ会社であり、その名を「ノリタケ」という。といしは知らなくても器のブランドとして一度は聞いたことがあるだろう。
ようするに、お茶碗と同じように、1,200℃前後で融ける土を結合材にして砥石をつくる方法をビトリファイド法という。 精密研磨に使われることが多い。
レジノイド法
resin(合成樹脂)を結合材にして作る方法であるが、レヂノイド砥石という場合はフェノール樹脂が結合材である。ちなみに弊社、株式会社クレーターはレヂノイド砥石の専業メーカーである。フェノール樹脂というのは熱硬化性樹脂といって、200度程度で硬化してしまうと、熱を掛けても再び柔らかくなることがなく、耐熱性、難燃性に優れている。従って、金属を削るときなど、火花が飛び、摩擦熱で砥石が熱を帯びるような状況にも問題ない。
フェノール樹脂は世界で始めて人工的に作り出された樹脂だそうだ。また、アメリカ人化学者のベークランドさんが発明したので、ベークライトとも言われている。粗、中仕上げ用に使われることが多い。
他の方法
以上、2つの製法が主流であるが、そのほかにも以下のようなといしがある。しかし、私は詳しくないので軽くだけ紹介する。
ゴムを結合材にしたゴム砥石。エポキシ樹脂を結合材にしたエポキシ砥石(これも合成樹脂だがレヂノイド法とは呼ばないと思う)。 マグネシアセメントというセメントを結合材にした砥石。また、シェラックという虫から採れる樹脂を使ったものや、膠(ニカワ)を使った砥石もある。
また、これは製造するのではないが、山から直接掘り出す天然砥石もある。
こちらも専門ではないので知識が乏しいが、包丁を使うプロの人たちや、刃物研ぎを趣味にしている人たちの間では非常に高額で売買されているものもあるようだ。京都の周辺に採掘、販売業者さんが多い。
20160408